サラの鍵(2010) ELLE S'APPELAIT SARAH [ナチ占領下のフランス]
監督: ジル・パケ=ブランネール
原作: タチアナ・ド・ロネ
クリスティン・スコット・トーマス ジュリア・ジャーモンド(アメリカ人ジャーナリスト)
メリュジーヌ・マヤンス サラ・スタルジンスキ(ユダヤ人少女)
ニエル・アレストリュプ ジュール・デユフォール(サラを救う農場主)
エイダン・クイン ウィリアム・レインズファード(サラの一人息子)
フレデリック・ピエロ ベルトラン・テザック(ジュリアの夫、フランス人)
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またもや、
第二次大戦におけるナチス協力という「フランス人の心の傷」の映画。
それも相当に厳しいので、小さい子供や孫を持つ人は見ないほうがいいです。
この映画に比べると、「バティニョールおじさん」は、相当にのんきです。
フランス人は、ユダヤ人の大量虐殺に協力しただけでなく、自ら進んで実行しました。
ただ、ナチスの緻密さに比べると、フランス人のやることは何だか雑なところもありますな。
その雑なところで、一部に救われたユダヤ人もいたようです。
ルシアンの青春 [ナチ占領下のフランス]
LACOMBE LUCIEN
1973 フランス/イタリア/西ドイツ
監督 ルイ・マル
出演 ピエール・ブレーズ(対独協力者の少年ルシアン)
オーロール・クレマン(ルシアンが恋するユダヤ人少女フランス)
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対独協力者というのは、フランス人にとって重いテーマでしょう
「バティニョールおじさん」でも出てきましたが、
ナチス占領前時点で、なんとなく不遇だった人が、
対独協力者になったのか
この映画の少年ルシアンもそう。
不遇というより、すこし性格異常なところがあって、
冒頭で、勤め先で野鳥をパチンコで撃ち殺すシーンがあります
その少年がナチスの手先になるんだけど、ユダヤ人少女と知り合って・・・
というストーリーで、展開もわりに淡々としていて、俳優も地味なので、
あまり受けないかもしれませんな。
そうそう!オーロール・クレマンは、あんなに楚々としてたのに、
ボン・ヴォヤージュでは、おばさんになってましたねえ
ブレーズは、粗野で陰気な感じを演技力で出したのか、地だったのか・・・
1975年8月に交通事故で亡くなっています
城の生活 [ナチ占領下のフランス]
LA VIE DE CHATEAU
1966 フランス
監督 ジャン=ポール・ラプノー
脚本 ジャン=ポール・ラプノー、アラン・カヴァリエ、クロード・ソーテ
音楽 ミシェル・ルグラン
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ (若妻マリー)
フィリップ・ノワレ(マリーの亭主で貴族、城のあるじ)
ピエール・ブラッスール(マリーの父親)
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ラプノーの昔の映画で、初々しいドヌーヴの可愛らしさをよぉくひきだしていました。
スタッフも超豪華ですね
そのわりに、95分の白黒映画と、スペック的には地味です
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お話は、ぼやっとした中年亭主と、可愛らしさだしまくりの若妻という取り合わせを骨格に、占領軍のドイツ軍人とレジスタンス青年が替わり番こで若妻に言い寄るという、いたってのんきなコメディです。ラプノーだからね。
結局は、亭主が突如として立ちあがって、ドイツ軍を追っ払い、若妻が惚れ直すという、まあ、「ナチ占領下のフランス」なんていう深刻なテーマではないです。
ただ、ドヌーヴの可愛らしさは尋常ではないので、未見の方はぜひご覧を
耳に残るは君の歌声 [ナチ占領下のフランス]
THE MAN WHO CRIED
2000 イギリス/フランス
監督 サリー・ポッター
出演 クリスティナ・リッチ(スージー、本名はフィゲレ)
ジョニー・デップ(ロマの青年チェーザー)
ケイト・ブランシェット(スージーの友人ローラ)
ジョン・タートゥーロ(イタリア人歌手ダンテ)
クローディア・ランダー=デューク(幼少のフィゲレ)
この映画も、パリとナチスがからんでいますが、珍しいのはロマが出てくるところ。
ナチスは、ユダヤ人だけでなくロマも迫害しました。
主人公のリッチはユダヤ人娘、デップはロマの役です
デップは珍しくクールでハードな役ですが、つくりすぎ
デニーロみたいに、普通の役もやるべきですね。アイオワあたりの正義の田舎保安官とか、サンフランシスコ郊外の田舎ハイスクールの熱血バスケコーチとか。
リッチは、アダムスファミリーにくらべると、太ったよねえ、ポチャポチャ。
ブランシェットは・・・・まあ、いいか。この人が主役級なのが信じられない
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話は、パリのシーケンスが終わったら、唖然の一言
フィルムが底をついたのか、むちゃくちゃ先を急いで、ハリウッドで父親と再会するまで一気呵成
大河ドラマなら3時間ものにすればいいのに
バティニョールおじさん [ナチ占領下のフランス]
MonsieurBatignole
2002 フランス
監督 ジェラール・ジュニョ
主演 ジェラール・ジュニョ(肉屋のバティニョールおじさん)
ジュール・シトリュク(ユダヤ人少年シモン)
ミシェル・ガルシア(おじさんの妻)
ジャン=ポール・ルーヴ(おじさんの娘の婚約者でナチ協力者)
アレクシア・ポルタル(おじさんの娘)
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フランス人の心の傷として、第一次大戦、第二次大戦とも交戦当事国として不甲斐なかったことがあげられるのではないか。
特に、第二次大戦では、首都が陥落してというより明け渡してしまい、官民ともにドイツに戦争協力してしまったこと。ユダヤ人迫害に手を貸してしまったこと。
この心の傷を癒そうということなのか、21世紀になっても、ナチ占領下を舞台にした映画が作られている。
この映画は、特にその傾向が強い。
ごく普通のフランス人たちが、積極的あるいは消極的にナチに協力していた。ただ、気分的に反ナチであった。そんな雰囲気が出ている。